料理人が独立する前に学んでおいた方がいいこと(2)
料理人が独立する前に学んでおいた方がいいことの2回目です。
2回目におススメしたいのが、料理関係の職業が結構幅広いということです。どうしてもお店を開くことだけが、料理人にとっての目標となってしまったり、お店を開けないから、料理関係の他の仕事をする、という上下関係を作り出してしまうことが多いかもしれません。
しかし、お料理に関する仕事というのは実はかなり幅広く、その奥も深いものです。そして提供側にいるとわかりづらいかもしれませんが、顧客側からすると、決してお店だけが興味の対象ではありません。
お料理、食というのは誰しも毎日関わることです。毎日食べずに生きている人はほぼいないでしょう。となると、毎日何かしら食というものに関わっているということです。そうなると、その職における、知識、技術、経験、ネットワークというものは、どこかで誰かが求めているものだと言ってもいいでしょう。
そう考えると、お店以外での働き方にも価値が出てくる、ということがわかりやすいかと思います。
ここに掲載されているだけでもかなりの数の資格があります。
掲載はされていませんが、お料理教室だって確実に需要がありますよね。
ただ、一方で、これだけいろんな資格があるということは、ある意味乱立しているとも言えます。本当に価値があるのか、という疑問を持たれることだってあるでしょう。
そんな時に、どういったスキル、資格を身に付けるか、というのは非常に重要なことになってきます。資格を取れば働ける、というのは安易な考え方になるのかもしれないのです。今や弁護士であっても資格だけでは食べていけないなんてことも言われています。そうなると、たとえ合格率が低い難関の資格を取ったとしても、決して安泰とは言えないでしょう。
ではどんなスキル、資格を取ればいいでしょうか。
優先すべきは、稼げるか、といったことよりも、自分が本当に興味がもてるものかどうか、ということでしょうね。興味があればあるほど、資格を取ろうと、取るまいと、知識、経験を積んでいくことになりますから。
そして、もう一つのポイントとしては、料理以外のことを身に付けておくと役に立つ、ということです。もしくは料理以外とまではいきませんが、お料理もできて、かつソムリエ、利き酒師、といった形です。
要は、料理しかできない人、というのはリスクが高いということです。なぜなら、世の中料理人はかなりの数いますし、顧客としても、単純に舌がおいしいと感じるものであれば、極端な話コンビニでもいいわけです。
添加物などの問題もありますが、コンビニで売られている食品は正直おいしいです。単純においしいものを食べたい、ということであればわざわざ料理人に作ってもらわなくても、食べれる時代です。化学調味料かもしれませんが、スーパーで売られているうまみ調味料を使えばおいしい料理ができますし、インスタント食品だっておいしいですし、デパ地下の惣菜コーナーは行くだけでお腹一杯になりそうなくらいに、おいしそうなものがたくさん売られています。
単純においしいものを食べたいという時に料理人にわざわざ作ってもらうには理由が必要な時代になっているのかもしれません。
例えばアナウンサーが料理人になったら、どうでしょうか。しゃべれる料理人ということで受けるかもしれません。
例えば、ピアニストが料理人になったらどうでしょうか。音楽も一緒に聞かせてくれる料理人ということで受けるかもしれません。
例えば、トラック運転手が料理人になったらどうでしょうか。全国どこでも来てくれる出張料理人として受けるかもしれません。
例えば、着付けの先生が料理人になったらどうでしょうか。和服で食べれるお料理教室が人気になるかもしれません。
例えば、幼稚園の先生が料理人になったらどうでしょうか。小さい子供向けのお料理教室が人気になるかもしれません。
例えば、エンジニアが料理人になったらどうでしょうか。技術的なことを話しながらおいしい料理を食べれるお店として繁盛するかもしれません。
例えば消防士が料理人になったらどうでしょうか。緊急時もおいしく食べれる食料品の開発の依頼が食品メーカーから来るかもしれません。
タクシーの運転手が料理人になったらどうでしょうか。深夜のタクシーでうまいご飯が食べれる、なんてこともできるかもしれません。
既に書いたように、食事というのは毎日全員が関わることなんです。どんな職業と掛け合わせても何か発展があるような気がしませんか?
要は幅の広さというか、料理だけじゃない何かを持っていることが逆に料理人としての可能性を広げるということになるのではないかと思うのです。